【弁護士監修】誹謗中傷対策の完全ガイド|削除依頼から開示請求、刑事告訴までの全手順

    ネットの掲示板やSNSでの誹謗中傷に、どう対処すべきか分からずお困りではありませんか。この記事は、弁護士監修のもと、誹謗中傷対策の具体的な方法を網羅した完全ガイドです。記事を読めば、投稿の削除依頼の方法から、書き込んだ相手を特定する発信者情報開示請求、さらには損害賠償請求(慰謝料請求)や刑事告訴といった法的措置までの全手順が分かります。誹謗中傷対策で最も重要な結論は、発見後すぐに「証拠を保全」し、法的措置を検討するなら「弁護士へ相談する」のが解決への最短ルートであるということです。この記事が、あなたの不安を解消し、次の一歩を踏み出すための道しるべとなります。

    目次

    誹謗中傷とは?放置するリスクと対策の全体像

    インターネットやSNSの普及に伴い、誰もが匿名で手軽に情報を発信できる時代になりました。その一方で、匿名の陰に隠れた無責任な発言による「誹謗中傷」が深刻な社会問題となっています。もしあなたがネット上で誹謗中傷の被害に遭ってしまったら、どうすればよいのでしょうか。

    この記事の冒頭では、誹謗中傷の定義から、それを放置することの危険性、そして具体的な対策の全体像までを分かりやすく解説します。正しい知識を身につけ、ご自身の権利を守るための第一歩を踏み出しましょう。

    誹謗中傷の定義と成立しうる犯罪

    まず知っておくべきなのは、「誹謗中傷」という言葉は、実は法律上の正式な用語ではないということです。一般的に、「根拠のない悪口や嘘を言いふらし、他人の名誉や社会的評価を傷つける行為」全般を指す言葉として使われています。

    法律の世界では、具体的な行為の内容に応じて、以下のような犯罪や権利侵害に該当するかどうかが判断されます。ご自身の受けた被害がどれに当てはまる可能性があるのか、確認してみましょう。

    分類成立しうる犯罪・権利侵害内容の概要
    刑事責任名誉毀損罪公の場で具体的な事実を挙げて、人の社会的評価を低下させる行為。「あいつは前科持ちだ」「会社の金を横領している」など、内容が真実でも成立しえます。
    刑事責任侮辱罪具体的な事実を挙げずに、公の場で人を侮辱する行為。「バカ」「死ね」「ブス」など、抽象的な表現で相手を蔑む(さげすむ)場合に成立します。
    刑事責任信用毀損罪・業務妨害罪嘘の情報を流して、人の経済的な信用や業務を妨害する行為。「あの店の食品には毒が入っている」といった書き込みが典型例です。
    刑事責任脅迫罪本人またはその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告知する行為。「お前の家族をめちゃくちゃにしてやる」といった書き込みが該当します。
    民事責任プライバシー侵害本名、住所、電話番号、私生活上の事実など、一般に公開を望まない個人情報を本人の許可なく公開する行為です。

    このように、単なる悪口と放置していたものが、法的には犯罪行為に該当するケースは少なくありません。どの犯罪に該当するかによって、その後の対策も変わってきます。

    ネットの誹謗中傷を放置してはいけない3つの理由

    「少しの間だけ我慢すれば、そのうち忘れられるだろう」「事を荒立てたくない」と考えて、誹謗中傷を放置してしまう方がいます。しかし、その判断は極めて危険です。ネットの誹謗中傷を放置してはいけない、3つの重大な理由を解説します。

    1. 被害が「デジタルタトゥー」として半永久的に残り続ける

    インターネット上に一度公開された情報は、完全に削除することが非常に困難です。スクリーンショットなどで拡散されれば、元の投稿を消してもコピーが残り続けます。この消えない情報のことを「デジタルタトゥー」と呼びます。誹謗中傷を放置すると、その情報がデジタルタトゥーとして残り、就職、転職、結婚、取引など、人生のあらゆる重要な局面であなたの評価を不当に下げ続ける可能性があります。

    2. 精神的苦痛が深刻化し、日常生活に支障をきたす

    匿名の相手からの執拗な攻撃は、被害者の心に深刻なダメージを与えます。常に誰かに見られているような感覚に陥り、不安や恐怖から不眠になったり、外出が怖くなったりすることもあります。放置することで精神的な負担は増し続け、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)といった精神疾患につながる危険性も指摘されています。

    3. 攻撃がエスカレートし、模倣犯を誘発する

    誹謗中傷に対して何も対応をしないと、投稿者は「この相手は反撃してこない」と判断し、さらに攻撃をエスカレートさせることがあります。また、その投稿を見た第三者が便乗して新たな誹謗中傷を始めたり、面白がって情報を拡散したりすることで、いわゆる「炎上」状態に陥るケースも少なくありません。毅然とした態度で早期に対応することが、さらなる被害の拡大を防ぐための最大の防御となります。

    誹謗中傷対策の基本的な流れを3ステップで解説

    誹謗中傷の被害に遭った場合、どのような手順で対策を進めていけばよいのでしょうか。目的によって取るべき手段は異なりますが、基本的な流れは以下の3つのステップに分けられます。まずは対策の全体像を把握しましょう。

    1. 【ステップ1】投稿の削除
      まずは、被害の原因となっている誹謗中傷の書き込みそのものを削除することを目指します。サイトの運営者に直接削除を依頼する方法や、法的な手続きである「送信防止措置依頼」、裁判所を通じた「削除仮処分」などの方法があります。
    2. 【ステップ2】投稿者の特定
      次に、誰がその書き込みを行ったのか、匿名の投稿者を特定する手続きです。これは「発信者情報開示請求」と呼ばれ、サイト運営者とプロバイダ(インターネット接続業者)の2段階の手続きを経て、投稿者の氏名や住所を明らかにします。
    3. 【ステップ3】法的措置(責任追及)
      投稿者を特定できたら、その人物に対して法的な責任を追及します。精神的苦痛に対する慰謝料などを請求する「損害賠償請求(民事)」と、警察に告訴して処罰を求める「刑事告訴(刑事)」の2つの側面からアプローチが可能です。

    これらのステップは、必ずしも全てを行う必要はありません。「とにかく投稿を消してほしい」という場合はステップ1まで、「投稿者に謝罪と賠償を求めたい」場合はステップ3まで進めることになります。ご自身の状況と目的に合わせて、どこまでの対応を望むのかを考えることが重要です。

    誹謗中傷を発見したらまずやるべきこと 証拠保全の方法

    インターネット上でご自身に関する誹謗中傷の投稿を発見した際、精神的なショックから「一刻も早く消してほしい」と焦ってしまうかもしれません。しかし、何よりも先に行うべきは、その投稿の証拠を保全することです。投稿が削除されてしまうと、後の法的措置(発信者情報開示請求や損害賠償請求など)が極めて困難になるためです。

    感情的に投稿者へ反論したり、すぐにサイト管理者へ削除を求めたりする前に、まずは冷静に、これから解説する方法で証拠を確実に確保してください。これが、ご自身の権利を守るための重要な第一歩となります。

    スクリーンショットやURLを正確に保存する

    証拠保全の最も基本的な方法は、該当するウェブページ全体のスクリーンショットを撮影し、URLを記録することです。後の法的手続きで証拠として認められるためには、「いつ」「どこで」「誰が」「どのような内容を」投稿したかを客観的に証明できる情報を含める必要があります。

    スクリーンショットを撮影する際は、以下の情報がすべて含まれているか必ず確認してください。

    含めるべき情報具体的な内容と注意点
    URL(アドレス)ブラウザのアドレスバーに表示されているURL全体が写るように撮影します。投稿の場所を特定するための最も重要な情報です。
    投稿内容の全文誹謗中傷にあたる書き込みの全体がわかるように撮影します。投稿が長い場合は、複数回に分けてページをスクロールしながら全体を撮影してください。
    投稿日時「○月○日 ○時○分」といった投稿日時が明確にわかるようにします。これにより、いつ書き込まれた投稿なのかを証明できます。
    投稿者の情報投稿者のアカウント名、ユーザー名、IDなどが表示されている部分を含めて撮影します。
    前後の文脈可能であれば、誹謗中傷投稿の前後のやり取りや、スレッドのタイトル、記事のタイトルなども含めて撮影すると、投稿の意図や背景を証明する助けになります。

    撮影したスクリーンショットの画像データは、ファイル名を「【誹謗中傷】20231026_〇〇(サイト名)」のように、日付やサイト名を入れて整理しておくと管理しやすくなります。また、スクリーンショットと合わせて、該当ページのURLをコピーし、テキストファイルなどに貼り付けて保存しておくことも忘れないようにしましょう。

    ブラウザの印刷機能を使ってページ全体をPDFファイルとして保存する方法も有効です。この方法では、ヘッダーやフッターにURLや保存日時を自動で記載できる場合が多く、証拠能力を高める上で役立ちます。

    印刷して物理的に保管する

    スクリーンショットやPDFなどのデジタルデータは、パソコンの故障や操作ミスによって消失してしまうリスクがあります。万が一に備え、保存した証拠を紙に印刷し、物理的な形で保管しておくことを強く推奨します。

    印刷する際も、スクリーンショットと同様にURLや投稿日時がわかるようにページ全体を印刷してください。ブラウザの印刷設定で、ヘッダーとフッターに「日付」「タイトル」「URL」などを印字するオプションを選択すると、より確実な証拠となります。

    印刷した書類は、発見日時や状況などをメモした書面と一緒に、クリアファイルなどに入れて大切に保管しておきましょう。デジタルと物理の両方で証拠を二重に確保しておくことで、安心して次のステップに進むことができます。

    【ステップ1】誹謗中傷の投稿を削除する依頼方法

    誹謗中傷投稿の削除依頼:3つのステップ 手軽な方法から法的措置まで、段階的な対応フロー STEP 1 サイト管理者への直接依頼 ・問い合わせフォーム等から削除を申請 ・費用:無料 / 期間:数日〜 まずはここから 最も手軽 STEP 2 送信防止措置依頼 ・プロバイダ責任制限法に基づく法的手続き ・費用:数千円 / 期間:1〜2週間 法的な根拠 強制力は無し STEP 3 裁判所の削除仮処分 ・裁判所命令による強制的な削除 ・費用:高額 (弁護士必須) / 期間:1〜3ヶ月 最終手段 法的強制力あり ※緊急性が高い場合や悪質なケースは、最初から弁護士へ相談(STEP 3)を検討してください。

    インターネット上で誹謗中傷の投稿を発見した場合、最初の目標は、その投稿を他人の目に触れないように削除することです。投稿の削除を実現するには、大きく分けて3つの方法があります。ここでは、それぞれの方法の具体的な手順、メリット・デメリットを詳しく解説します。状況に応じて最適な手段を選択しましょう。

    サイト管理者への直接の削除依頼

    最も手軽で迅速な方法が、投稿が掲載されているウェブサイト(掲示板、SNS、ブログなど)の管理者に直接削除を依頼することです。多くのサイトでは、利用規約で権利侵害行為を禁止しており、削除依頼のためのフォームや連絡先を設けています。

    手順は以下の通りです。

    1. サイトの「お問い合わせフォーム」「削除依頼」「権利侵害の報告」などの窓口を探します。
    2. フォームの指示に従い、削除を希望する投稿のURL、投稿内容、削除を求める理由を具体的に記載します。
    3. 削除理由としては、「名誉毀損にあたる」「プライバシーを侵害している」など、どの権利がどのように侵害されているかを明確に説明することが重要です。

    この方法のメリットは、費用がかからず、手続きが比較的簡単である点です。サイト管理者が迅速に対応すれば、数日で投稿が削除されることもあります。一方で、管理者が依頼に応じない、あるいは返信すらないケースも少なくありません。また、悪質なサイトの場合、削除依頼をしたことで個人情報が投稿者に伝わってしまうリスクもゼロではないため注意が必要です。

    送信防止措置依頼の手続き

    サイト管理者に直接依頼しても削除されなかった場合や、より法的な根拠をもって削除を求めたい場合には、「送信防止措置依頼」という手続きを行います。これは「プロバイダ責任制限法」という法律に基づいて、サイト管理者やサーバーの管理者(プロバイダ)に対し、権利侵害情報の送信を停止するよう求めるものです。

    手続きの主な流れは以下のようになります。

    1. 「送信防止措置依頼書」という書面を作成します。書式は総務省の関連ガイドラインで示されているものを参考にするとよいでしょう。
    2. 依頼書には、掲載されている場所(URL)、侵害されたとする権利(名誉権、プライバシー権など)、権利が侵害されたとする理由を詳細に記載します。本人確認書類の写しを添付するのが一般的です。
    3. 作成した依頼書を、サイト管理者やプロバイダに内容証明郵便などで送付します。

    依頼書を受け取ったプロバイダは、投稿者に対して意見照会を行います。投稿者から7日以内に反論がなければ、プロバイダは投稿を削除するのが一般的です。法的な根拠があるため、直接の依頼よりも削除に応じてもらえる可能性が高まります。ただし、書面の作成や送付に手間がかかる点、投稿者に意見照会がいくため、削除依頼をしたことが相手に伝わる点がデメリットと言えます。

    裁判所を通じた削除仮処分の申し立て

    上記2つの方法でも投稿が削除されない場合や、悪質性が高く緊急を要する場合には、裁判所に対して「投稿記事削除の仮処分命令」を申し立てる方法があります。これは、正式な裁判を経ずに、暫定的に投稿の削除を命じてもらうための法的な手続きです。

    仮処分は、通常の裁判に比べて迅速に判断が下される特徴があります。申し立てが認められれば、裁判所からサイト管理者に対して削除命令が出されるため、非常に強力で、ほぼ確実に投稿を削除させることができます

    しかし、この手続きは法律の専門知識が不可欠です。申立書の作成や、権利侵害を証明するための証拠収集、裁判所での主張(審尋)など、個人で行うのは極めて困難なため、弁護士への依頼が事実上必須となります。そのため、弁護士費用や裁判所に納める担保金など、他の方法に比べて費用と時間がかかる点が大きなデメリットです。

    どの方法を選択すべきか判断しやすくするために、3つの削除方法の特徴を以下の表にまとめました。

    削除方法手続きの相手方強制力費用の目安期間の目安
    サイト管理者への直接依頼サイト管理者なし(任意)原則無料数日〜数週間
    送信防止措置依頼サイト管理者・プロバイダなし(事実上の強制力)数千円(郵送費など)1〜2週間程度
    削除仮処分の申し立て裁判所あり(法的強制力)30万円〜60万円程度(弁護士費用含む)1〜3ヶ月程度

    まずは最も手軽なサイト管理者への直接依頼を試み、応じてもらえなければ送信防止措置依頼へ、それでも解決しない悪質なケースでは裁判手続きへ、と段階的に進めていくのが一般的な流れです。ただし、事案の緊急性や悪質性によっては、最初から弁護士に相談し、仮処分を検討することも有効な選択肢となります。

    【ステップ2】投稿者を特定する発信者情報開示請求

    発信者情報開示請求の手続き比較 【従来】2段階の手続き ① コンテンツプロバイダ (サイト管理者)へ IPアドレス開示の仮処分 ② 経由プロバイダ (通信事業者)へ 契約者情報開示請求訴訟 特定完了 期間目安:約10ヶ月〜1年 ⚠️ 時間・費用の負担大 【改正法】新たな手続き 発信者情報開示命令申立て (非訟手続:1回の申立て) 裁判所 コンテンツ プロバイダ 経由 プロバイダ 特定完了 期間目安:約6ヶ月〜8ヶ月 ✨ 負担軽減・迅速化

    誹謗中傷の投稿を削除するだけでは、同じ人物による被害が繰り返される可能性があります。根本的な解決を目指すためには、投稿者を特定し、法的な責任を追及することが有効な手段となります。そのための手続きが「発信者情報開示請求」です。

    ここでは、匿名で投稿を行った人物を特定するための具体的な手順について、2022年10月に施行された改正法の内容も踏まえて詳しく解説します。

    発信者情報開示請求とは 2段階の手続きを解説

    発信者情報開示請求とは、プロバイダ責任制限法に基づき、SNSや匿名掲示板などに権利侵害情報(誹謗中傷など)を投稿した発信者(加害者)の身元を特定するために、サイト管理者や通信事業者(プロバイダ)に対して情報の開示を求める法的な手続きです。

    従来、この手続きは大きく分けて2段階の裁判手続きを経る必要がありました。

    1. サイトの運営者(コンテンツプロバイダ)に対し、投稿時のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める。
    2. 判明したIPアドレスを元に、通信事業者(経由プロバイダ)に対し、契約者の氏名・住所・メールアドレスなどの開示を求める。

    この方法は現在も利用可能ですが、被害者にとっては時間的・金銭的な負担が大きいという課題がありました。この課題を解決するため、後に解説する改正プロバイダ責任制限法が施行されました。

    まずは、基本となる従来からの2段階の手続きを理解するために、各段階を詳しく見ていきましょう。

    第1段階 IPアドレスの開示請求

    発信者を特定するための最初のステップは、誹謗中傷が投稿されたサイトの運営者(コンテンツプロバイダ)に対して、投稿の通信記録である「IPアドレス」と「タイムスタンプ」の開示を求めることです。

    コンテンツプロバイダの例としては、X(旧Twitter)やInstagramを運営するMeta社、5ちゃんねるの運営会社などが挙げられます。

    しかし、通信の秘密やプライバシー保護の観点から、サイト運営者が任意で情報を開示することはほとんどありません。そのため、裁判所に対して「発信者情報開示仮処分命令申立て」という法的手続きを行うのが一般的です。

    この手続きで最も注意すべき点は「ログの保存期間」です。プロバイダがIPアドレスのログを保存している期間は、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度と非常に短いため、誹謗中傷を発見したら、一日でも早く手続きに着手することが極めて重要になります。

    第2段階 契約者情報の開示請求

    第1段階の手続きでIPアドレスが開示されたら、次にそのIPアドレスから発信者が利用した通信事業者(経由プロバイダ)を特定します。経由プロバイダとは、NTTドコモやソフトバンクといった携帯電話キャリアや、NTT東日本・西日本、J:COMなどのインターネット接続サービス提供事業者のことです。

    次に、特定した経由プロバイダに対して、発信者の氏名、住所、メールアドレスといった契約者情報の開示を求めることになります。この手続きは、通常「発信者情報開示請求訴訟」という裁判(訴訟)を起こして行います。

    この訴訟で、裁判所が権利侵害の事実を認めれば、経由プロバイダに対して契約者情報の開示命令が出され、ようやく投稿者の身元が判明します。このように、従来の方法では、投稿者を特定するまでに2回の裁判手続きが必要となり、被害者の負担が非常に大きいものでした。

    2022年10月施行の改正プロバイダ責任制限法とは

    従来の2段階の手続きが持つ「時間・費用・労力」といった被害者の負担を軽減するため、2022年10月1日に改正プロバイダ責任制限法が施行されました。

    この改正の最大のポイントは、「発信者情報開示命令」という新たな裁判手続きが創設されたことです。これにより、従来は2回に分かれていた裁判手続きを、1つの手続きにまとめることが可能になりました。

    被害者は、この新しい手続きを利用することで、サイト運営者(コンテンツプロバイダ)へのIPアドレス開示請求と、通信事業者(経由プロバイダ)への契約者情報開示請求を、一体的に申し立てることができます。裁判所が双方のプロバイダに必要な情報を提出させ、審理を進めてくれるため、被害者の負担が大幅に軽減され、より迅速な特定が期待できるようになりました。

    項目従来の手続き新しい手続き(発信者情報開示命令)
    裁判手続きの回数原則2回(仮処分+訴訟)原則1回
    手続きの対象1. コンテンツプロバイダ
    2. 経由プロバイダ
    と、個別に行う必要があった。
    コンテンツプロバイダと経由プロバイダを同時に相手にできる。
    特定までの期間の目安約10ヶ月~1年程度約6ヶ月~8ヶ月程度に短縮される可能性
    特徴時間と費用がかかり、被害者の負担が大きかった。被害者の負担が軽減され、迅速な解決が期待できる。

    また、改正法ではログイン型のサービス(例:Google、Facebookなど)への誹謗中傷で、IPアドレスがなくても電話番号などの情報から利用者を特定できる場合には、IPアドレスの開示を経ずに直接契約者情報の開示を求められるようになるなど、より実態に即した柔軟な対応が可能となっています。

    どちらの手続きを選択すべきかは、事案の性質や証拠の状況によって異なります。どの方法が最適かについては、誹謗中傷問題に詳しい弁護士に相談して判断するのが賢明です。

    【ステップ3】投稿者への法的措置 損害賠償請求と刑事告訴

    投稿者特定後の法的措置(民事と刑事) スタート:投稿者の特定完了 民事責任の追及 目的:損害賠償(慰謝料)請求 1. 内容証明郵便による請求 (示談交渉・和解の提案) 2. 訴訟提起(裁判) (違法性と損害の主張・立証) 3. 判決・和解・強制執行 (金銭的解決の実現) 被害者の金銭的救済 刑事責任の追及 目的:刑事告訴(処罰) 1. 証拠収集・告訴状作成 (名誉毀損罪・侮辱罪の要件確認) 2. 警察へ提出・受理 (捜査開始・事情聴取) 3. 検察送致・起訴判断 (刑事裁判・略式命令) 加害者への刑罰(前科) ※民事と刑事は別の手続きであり、両方を同時に進めることも可能です。

    発信者情報開示請求によって投稿者の身元が特定できたら、いよいよ法的措置を検討する最終段階に入ります。誹謗中傷を行った投稿者に対しては、その行為の責任を追及するために「民事」と「刑事」の両面からアプローチが可能です。ここでは、損害賠償を求める民事責任の追及と、処罰を求める刑事責任の追及について、具体的な手順とポイントを詳しく解説します。

    民事責任の追及 損害賠償請求(慰謝料請求)

    民事責任の追及とは、投稿者の不法行為(民法709条)によって受けた精神的苦痛や金銭的損害を賠償してもらう手続きです。これを「損害賠償請求」と呼び、特に精神的苦痛に対する賠償金を「慰謝料」といいます。投稿の削除や投稿者の特定にかかった調査費用(弁護士費用の一部など)も、損害として認められる場合があります。

    損害賠償請求の流れ

    損害賠償請求は、まず話し合い(示談交渉)から始め、合意に至らない場合に裁判へと移行するのが一般的です。

    1. 内容証明郵便による請求(示談交渉)
      特定した投稿者の住所宛てに、弁護士名で内容証明郵便を送付し、損害賠償を請求します。これは、誰が、いつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明してくれるサービスです。相手方に心理的なプレッシャーを与え、裁判外での解決(示談)を促す効果が期待できます。相手が請求に応じれば、訴訟に比べて迅速かつ円満な解決が可能です。
    2. 訴訟提起
      示談交渉が決裂した場合や、相手方が請求を無視した場合には、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。訴状や証拠を提出し、裁判を通じて投稿の違法性や損害の発生を主張・立証していくことになります。
    3. 判決・和解
      裁判が進むと、裁判所から和解案が提示されることもあります。和解が成立しない場合は、最終的に裁判所が判決を下します。判決で請求が認められれば、相手方に対して法的な支払い義務が生じます。
    4. 強制執行
      判決が出ても相手方が支払いに応じない場合は、相手の給与や預金口座などの財産を差し押さえる「強制執行」の手続きをとることができます。

    慰謝料の相場

    慰謝料の金額は、投稿内容の悪質性、拡散の程度、被害者が受けた損害の大きさなど、個別の事情によって大きく変動します。あくまで一般的な目安ですが、過去の裁判例などから類型ごとの相場が存在します。

    被害の内容慰謝料の相場
    侮辱(事実の摘示なく「バカ」「キモい」など)1万円~10万円程度
    プライバシー侵害(私生活の情報を暴露)10万円~50万円程度 ※内容により高額化
    名誉毀損(個人の場合)10万円~50万円程度
    名誉毀損(事業主・法人の場合)50万円~100万円程度 ※売上減少など実害に応じて高額化

    これらの金額はあくまで目安であり、社会的地位の高い人や、執拗かつ悪質な投稿が繰り返されたケースでは、相場を上回る慰謝料が認められることもあります。

    刑事責任の追及 刑事告訴

    刑事責任の追及とは、投稿者を犯罪者として国の法律に基づき処罰してもらうための手続きです。民事の損害賠償が被害者への金銭的な補償を目的とするのに対し、刑事手続きは加害者に刑罰(懲役、罰金など)を科すことを目的とします。誹謗中傷に関連する犯罪の多くは「親告罪」といい、被害者が「刑事告訴」をしなければ検察官が起訴できないため、被害者自身の意思表示が不可欠です。

    名誉毀損罪と侮辱罪の違い

    ネットの誹謗中傷で主に問題となるのが「名誉毀損罪」と「侮辱罪」です。両者は似ていますが、成立要件に明確な違いがあります。

    項目名誉毀損罪(刑法230条)侮辱罪(刑法231条)
    成立要件公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させること。(内容の真偽は問わない)
    例:「Aは前科持ちだ」「B社の製品は欠陥品だ」
    公然と事実を摘示せずに、人を侮辱すること。
    例:「バカ」「死ね」「ブス」
    法定刑3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料

    ポイントは、具体的な事実(真実か嘘かにかかわらず)を挙げているか否かです。具体的な事実を挙げて社会的評価を下げれば「名誉毀損罪」、具体的な事実を挙げずに抽象的な言葉で罵倒すれば「侮辱罪」に該当する可能性があります。なお、侮辱罪は2022年の法改正で厳罰化されました。

    刑事告訴の手順と警察への相談

    刑事告訴を行う場合、一般的に以下の手順で進めます。

    1. 証拠の収集・整理
      誹謗中傷の投稿内容(スクリーンショット、URL、投稿日時)、投稿者が特定できた資料など、これまでに集めたすべての証拠を整理します。
    2. 告訴状の作成
      「いつ、どこで、誰が、どのような犯罪行為を行ったのか」を明確に記載した「告訴状」という書面を作成します。法的要件を満たす必要があるため、弁護士に作成を依頼するのが最も確実です。
    3. 警察署への提出
      作成した告訴状と証拠資料一式を、管轄の警察署(本社の所在地やサイバー犯罪相談窓口など)に提出します。事前に電話でアポイントを取っておくとスムーズです。
    4. 受理・捜査開始
      警察が告訴状を正式に受理すると、投稿者への事情聴取など、本格的な捜査が開始されます。
    5. 検察への送致と処分決定
      警察の捜査が完了すると、事件は検察庁に送られます(送致)。検察官が捜査内容を精査し、投稿者を起訴するか不起訴にするかを最終的に判断します。起訴されれば刑事裁判が開かれます。

    注意点として、警察には「民事不介入の原則」があり、単に「ネットで悪口を書かれた」という相談だけでは、動いてくれないことが少なくありません。そのため、法的要件を整えた告訴状を弁護士経由で提出し、犯罪として捜査すべき事案であることを明確に示すことが、刑事告訴を成功させるための重要な鍵となります。

    誹謗中傷対策にかかる費用相場

    ネットで誹謗中傷の被害に遭った際、対策を講じるにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。対策費用は、ご自身で対応するのか、それとも弁護士などの専門家に依頼するのかによって大きく異なります。また、どの段階までの措置を求めるかによっても金額は変動します。ここでは、それぞれのケースにおける費用相場を具体的に解説します。

    自分で対策する場合の費用

    弁護士に依頼せず、ご自身で誹謗中傷対策を行う場合、基本的にはサイト管理者への削除依頼や送信防止措置依頼に費用はかかりません。しかし、裁判所を通じた法的手続きを行う場合は、弁護士費用はかからないものの、手続きに必要な「実費」が発生します。

    主な実費には以下のようなものがあります。

    • 収入印紙代:裁判所に訴状や申立書を提出する際に納める手数料です。請求額や手続きの種類によって金額が変わります。
    • 郵便切手代(予納郵券):裁判所から相手方へ書類を送付するために必要な切手代です。数千円程度を事前に裁判所に納めます。
    • 登記事項証明書取得費用:相手方法人がサイト管理者やプロバイダの場合に、法務局で取得するための手数料です。1通600円程度かかります。
    • 担保金(供託金):削除の仮処分や発信者情報開示の仮処分を申し立てる際に、裁判所に預ける保証金です。これは、万が一申立てが不当であった場合に相手方が被る損害を賠償するためのもので、裁判所の判断にもよりますが10万円~30万円程度が目安となります。この担保金は、手続きに問題がなければ後日返還されます。

    ご自身で対応すれば費用を抑えられますが、法的な知識が不可欠であり、手続きには多大な時間と労力がかかります。また、精神的な負担も大きくなる可能性があることを念頭に置く必要があります。

    弁護士に依頼する場合の費用

    誹謗中傷対策を弁護士に依頼する場合、その費用は主に「相談料」「着手金」「成功報酬」「実費」で構成されます。かつては日本弁護士連合会(日弁連)が定めた報酬基準がありましたが、現在は廃止されており、各法律事務所が自由に料金を設定しています。そのため、依頼する事務所や事案の難易度によって費用は大きく異なります’mark>。必ず事前に複数の事務所から見積もりを取り、料金体系について十分な説明を受けることが重要です。

    相談料・着手金・成功報酬の内訳

    弁護士費用の内訳と、それぞれの一般的な相場について解説します。

    相談料
    弁護士に法律相談をする際にかかる費用です。最近では初回相談を無料としている事務所も多くあります。有料の場合、30分5,000円~1万円程度が相場です。まずは無料相談を活用し、事案の見通しや費用について確認すると良いでしょう。

    着手金・成功報酬
    着手金は、弁護士に案件を依頼した段階で支払う費用で、結果にかかわらず原則として返還されません。成功報酬は、削除や開示、損害賠償金の獲得など、依頼が成功した場合に支払う費用です。以下に、手続きごとの着手金と成功報酬の一般的な相場をまとめました。

    手続きの種類着手金の相場成功報酬の相場
    サイトへの任意削除依頼5万円~10万円程度5万円~10万円程度
    削除仮処分申立て20万円~30万円程度10万円~20万円程度
    発信者情報開示請求(IPアドレス)20万円~30万円程度10万円~20万円程度
    発信者情報開示請求(契約者情報)20万円~30万円程度10万円~20万円程度
    投稿者への損害賠償請求10万円~20万円程度獲得した賠償金の16%~20%程度
    刑事告訴20万円~40万円程度事案により別途協議

    ※上記の金額はあくまで目安です。複数の手続きを同時に依頼する場合や、事案の複雑さによって費用は変動します。

    実費
    弁護士費用とは別に、手続きを進める上で必要となる実費は依頼者負担となります。これには、前述した収入印紙代、郵便切手代、担保金のほか、弁護士の交通費や日当などが含まれます。特に発信者情報開示請求では、弁護士費用に加えて裁判所に納める担保金(10万円~30万円程度)が必要になることを覚えておきましょう。

    誹謗中傷対策の相談先一覧

    ネット上で誹謗中傷の被害に遭ったとき、一人で抱え込まずに専門家や専門機関に相談することが、迅速な解決への第一歩です。しかし、相談先によって対応できる範囲や得意分野が異なります。ここでは、代表的な相談窓口の特徴を解説し、あなたの状況に最適な相談先を見つける手助けをします。

    それぞれの相談先が持つ役割やメリット・デメリットを正しく理解し、賢く活用しましょう。

    弁護士に相談するメリット

    誹謗中傷対策において、弁護士は最も頼りになる相談相手です。特に、投稿者の特定や損害賠償請求といった法的な措置を視野に入れている場合には、弁護士への相談が不可欠となります。

    弁護士に依頼する最大のメリットは、誹謗中傷問題の解決に必要な法的手続きをすべて一任できる点にあります。具体的には、サイト管理者への削除依頼から、裁判所を通じた発信者情報開示請求、加害者との示談交渉、損害賠償を求める民事訴訟、そして警察への刑事告訴まで、あらゆる法的プロセスを代理人として遂行してくれます。

    また、個別の事案に対して「その書き込みが名誉毀損や侮辱罪にあたるか」といった法的な判断や、開示請求が成功する見込み、慰謝料の相場など、専門的な知見に基づいた的確なアドバイスを受けられるのも大きな利点です。煩雑な手続きや相手方との交渉から解放されることで、被害者の精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。初回の相談を無料で受け付けている法律事務所も多いため、まずは一度相談してみることをお勧めします。

    警察への相談

    誹謗中傷の内容が脅迫やストーカー行為に該当するなど、ご自身やご家族の生命・身体に危険が及ぶ可能性がある場合には、速やかに警察へ相談してください。警察の役割は、事件を捜査し、犯人を検挙すること、つまり刑事責任を追及することにあります。

    相談は、最寄りの警察署の生活安全課や、各都道府県警に設置されているサイバー犯罪相談窓口で行うことができます。相談の際には、証拠となるスクリーンショットやURLを持参しましょう。被害の状況を説明し、犯罪として立件可能だと判断されれば、被害届や告訴状を受理してもらい、捜査が開始されます。

    ただし、警察は「民事不介入」の原則があるため、投稿の削除や、加害者に対する損害賠償請求には対応できません。あくまで刑事事件として犯人を処罰することを目的とした機関です。緊急性が低いと判断された場合や、証拠が不十分な場合には、すぐには動いてもらえないケースもあることを理解しておく必要があります。

    法務局の人権相談窓口

    「弁護士に依頼する費用がない」「まずは公的な機関に相談したい」という場合には、法務局の人権相談窓口を利用する方法があります。法務局では、インターネット上の誹謗中傷を人権侵害の一環として捉え、被害救済のための手助けをしてくれます。

    相談は無料で、電話やインターネット、対面で行うことが可能です。相談の結果、人権侵害にあたると判断された場合、法務局がプロバイダやサイト管理者に対し、人権擁護の見地から投稿の削除を「要請」してくれます。この要請に法的な強制力はありませんが、公的機関からの働きかけであるため、多くの事業者が自主的に削除に応じる傾向にあります。

    ただし、法務局が行えるのはあくまで削除の要請までです。加害者を特定したり、損害賠償を請求したりすることはできません。法的措置を検討している場合は、最終的に弁護士への相談が必要となります。

    専門対策業者(シエンプレなど)への相談

    専門対策業者とは、弁護士とは異なり、WebマーケティングやSEOの技術を駆使してネット上の評判を改善することを専門とする会社です。代表的な企業に「株式会社シエンプレ」などがあります。

    専門業者の主なサービスは、法的手続きによる削除が難しいグレーな書き込みに対して、検索結果の表示順位を下げる「逆SEO」や、検索候補に表示されるネガティブなキーワードを非表示にする「サジェスト汚染対策」などです。また、24時間365日ネット上を監視し、新たな誹謗中傷の発生をいち早く検知するモニタリングサービスも提供しています。

    これらのサービスは、個人の名誉回復だけでなく、企業のブランドイメージ(レピュテーション)毀損を防ぎたい場合に特に有効です。ただし、専門業者は弁護士ではないため、発信者情報開示請求や訴訟といった法的手続きを代理することはできません。対策には当然費用がかかるため、自社の状況や目的に合わせて、弁護士への依頼と使い分けることが重要です。

    相談先主な役割対応できること費用
    弁護士法的手続きの代理削除依頼、開示請求、損害賠償請求、刑事告訴など、法的手続き全般有料(相談料、着手金、成功報酬など)
    警察刑事事件の捜査捜査、犯人の検挙、被害届・告訴状の受理(緊急性・犯罪性が高い場合)無料
    法務局人権侵害の救済人権相談、プロバイダへの削除要請無料
    専門対策業者Web上の評判管理逆SEO、サジェスト対策、ネット監視有料(サービス内容による)

    まとめ

    ネット上の誹謗中傷は、放置すると精神的苦痛の増大、社会的信用の低下、情報の永続的な拡散といった深刻な被害につながるため、迅速かつ適切な対応が不可欠です。被害に遭った際は、まずスクリーンショットやURLを保存するなど、確実な証拠保全を行ってください。

    対策の基本的な流れは、①投稿の削除依頼、②投稿者を特定する発信者情報開示請求、③損害賠償請求や刑事告訴といった法的措置の3ステップです。特に、投稿者の特定から法的措置までは専門的な知識を要する複雑な手続きであり、2022年の法改正で手続きが一部合理化されたものの、個人での対応は依然として困難が伴います。

    一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で弁護士へ相談することが、精神的な負担を軽減し、問題を早期に解決するための最善策です。状況によっては警察や法務局の人権相談窓口も有効な相談先となります。この記事を参考に、まずは専門家への相談という次の一歩を踏み出してください。

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    〒107-0052 東京都港区赤坂4丁目2−19 8F

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